白鳥の歌 ~ノロ・ニブ・ドジから巧速を目指す~

マイペース過ぎると評価された元知的ブルーワーカーが、 巧速を目指すトライ&エラーを綴るライフハック集+時々随筆。

赤羽雄二『ゼロ秒思考』は頭の筋トレ。基礎体力がついてフットワークが軽くなる

 A4横の白い紙に、1枚1分で、思い浮かぶことを数行でひたすら書いていく、というトレーニングです。
これによって頭のもやもやが整理され、頭の回転が速くなり、つまり、頭がよくなると説いてある本が『ゼロ秒思考』です。

ゼロ秒思考  頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング

ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング

 

 8月から11月まで、三ヵ月やってみた感想をまとめます。
ちなみに着手してすぐの感想はこちら。↓

swngsng.hatenablog.com

 私は、考え事も文章書きも幼い頃から好きでしたから、1分1枚の筆記は開始時から全然苦ではありませんでした。
けれど、苦戦する人達もいらっしゃるようです。
その意味ではちょっと人を選ぶメソッドかもしれませんね。

さてそれでは、三ヶ月の実践を行って実感したメリットは、

紙に向かって書き出している時にすぐ分かる効用

  1. 気になること(主に嫌なこと)をひたすら書き出すと、書いたこと自体で気分が落ち着いて、嫌なもやもやを一旦忘れられる。
  2. あるテーマについて、色々な角度・深度で掘り下げを行っていくことで、気持ちと考えが整理されて落ち着く。
  3. あるテーマについて(一時的なものであれ)方針を決められる。
  4. 少し経つと消えてしまうアイデアを、それなりの形で記録しておくことができるので、「安心して忘れられる」。

これらのメリットは、実は、他のメソッドでも得た経験がありました。
具体的には、GTDや、紙とペンを使うセドナメソッドによってです。
考えること・感じることをひたすら書き出していくプロセスが同じなので、似たようなメリットが得られることには納得です。

それ以外の、日常生活に出てくる効用

それでは、この手法の一番のポイントとは何なのでしょうか。

実践してみた上で、私が最も重要かつ特異的だと感じた点は、
書き出しを行っていない時でも、色々な角度・深度で物事について考えてみる労力を、そう苦と感じないようになる」ことです。
これを私は、思考の基礎体力がついてフットワークが軽くなることだと感じました。

一番の効用は、思考のフットワークが軽くなること

体感では、このトレーニング前後で、一つ一つの思考の深さや速さ自体が向上しているとは余り感じません。
元々私は、ああだこうだと考え込む性質ですし、これまで解けなかった難しい問題を、このトレーニングの後なら解けるようになったとも思えません。
ですが、目の前の数々の課題を……、特に、これまでだったら思考放棄して放置してしまっていただろう物事を、さくさく処理していけるようになったのが大きいのです。

これまでだったら、
 問題を目にする⇒面倒になって放置すると決める⇒ペンディングになる
この繰り返しで、未解決問題がどんどん溜まっていったり、それに圧されてやるべきことが遅れていったりすることがありました。
けれど、ゼロ秒思考のトレーニングを繰り返した結果、
 問題を目にする⇒とりあえず脳内で数回思考を回してみる⇒適当な案がまとまる⇒案に沿って一度着手する
このサイクルが非常に回りやすくなりました。

具体的には、以前は、

「あ、不適合があって戻ってきた証明書が棚の上にある」
 ↓
「完成品と違って置き場も決まってないし、捨てるのもちょっとな……」
 ↓
(疲れてる)
 ↓
「いいや、今のまま封筒に入れてとりあえず置いておこう。
 何かの拍子に要るかもしれない」

でその場を終えていました。
ところが、ある程度トレーニングを続けてからは、

「あ、不適合があって戻ってきた証明書が棚の上にある」
 ↓
「完成品と違って置き場も決まってないし、捨てるのもちょっとな……」
 ↓
「今のままだと封筒から出さないと中身が分からないから、いざとなっても不便だろうな。
 穴を開けてファイリングして、もし美品として必要になったら拙いな。
 じゃあ穴は開けずにクリアファイルかクリアポケットに入れて保管でいいかな。
 完成品と同じファイルに、インデックスで区別して綴じておけば探しやすいよね、この業務の資料は全部あのファイルだもの」
 ↓
「クリアポケットに入れて挟むだけなら2分かからないな、今やろう」

このくらいを考えるのが大した労力ではなくなりました。

別に、全然難しいことは考えていないし、以前だって、考えれば同じ結論に辿り着けた筈です。
この三ヵ月で、特別にお片付けが好きになった訳でもありません。
ただ、その場でそこまで頭を使うのが面倒だったし、その気もなかったのです。
好きなジャンルの勉強でも、興味のある話題でもなかったから、しんどくて考える気が湧かなかったというただそれだけで。

つまり、何か引っかかること・分からないことが出た時に、瞬間的に、色々な角度・深度で対象について考えてみる癖ができる
思考がひと段落して落ち着くまで考え続ける癖ができる。
或いは、色々な角度・深度で対象について考えてみる労力を、そう苦にせずにできるようになる
これが、これが、このメソッドの最も大きな効用だと考えます。

一旦作業を中断して保留案件にしてしまうと、次に着手する時に、また初動エネルギーや時間が必要になります。
それは繰り返しで要するエネルギーと時間であり、つまり無駄なエネルギーと時間なのです。

この無駄が排除されたことで、同じ期間で処理できる課題の数が増えました。
つまり、作業速度・行動速度・問題解決速度が向上したということです。

著書の中には、やたらと「頭がよくなる」という表現が出てきます。
「頭の良さ」という定義には色々な解釈が存在しますよね。
だから、本を読んだ時は、余り良い言い回しだとは思えませんでした。
ですが今は、「なるほど、確かにこれは”頭の良さ”の一つだな」と思えます。
勿論、私とは別の効用を感じている人もきっといるでしょうし、その人にとっては、また別の「頭の良さ」が向上した、ということになるのでしょう。

ゼロ秒思考は頭の筋トレ

因みに皆さん、
「物事を放置してはいけない」
「後回しにすればする程大変」
なんてことは、当然ながらずっと前から知っていますよね。
私もそうでした。
だから色々な物事を、(取捨選択し、優先順位を付けた上で)すぐにやろうとしていましたし、何度も試みたんですが、続けられませんでした。
することが余りに多くて、疲れてしまっていたから。
一日は小さな判断の繰り返し・積み重ねですが、特に職場等の、人が多く情報量も多い場所で、数々の割り込みを受けながら細かな仕事を回していると、終業時には……、いいえ、途中からはぐったりと疲れ切って、もう何も考えたくありませんでした。

私は、「好きなこと1つに」「腰を落ち着けてじっくりと」取り組むのでしたら、昔から得意でした。
ですが、複数の細かなことを大量に処理していく能力が、どうしても課題の量に追い付かなかったのです。
今は、同じ数の物事を処理しても、以前ほどは疲れません。

三ヵ月間このトレーニングを続けて、今得ている感覚は、筋トレを続けた時のそれに似ています。
思考の基礎体力が上がったと感じます。
特に難しいことをした訳ではなく、本に書いてある手法の全てを忠実に行った訳でもなく、ただ眠る前に10分ばかり書き物をしただけで。

本当にいいメソッドで、もっと早くに出会いたかったと思っています。
筋トレですから、ベストの状態を維持出来るように続けていくことが大切なのでしょう。
そして、私のように、

  • ”ちょっとした考え事”が大量に来るとしんどくなってしまう。
  • 冴えている時は良いけれど、それが続かずにすぐにバテてしまう。
  • スタートダッシュが遅いと言われる。

こんなタイプの方には、是非試してみてほしいです。

関連本沢山…

この方は同じメソッドで色々なテーマの本を出していますね。
当ブログでお勧めするのは、もちろん『ゼロ秒思考』です。
仕事系に沿った記述が沢山ありますし、大本の著作ですから、これさえ読んでおけばOKでしょう。

この本が手に入り難かったり、よりメソッドに馴染みたい、実例を多数知りたい、応用力を付けたいという方は別の著書も読む、位のスタンスでいいと考えます。

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ご本人のブログがありました。こういうところ、ネット社会は素敵ね。

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